なぜ私はアートに関心をもったか
小学6年生の時、
絵で人を喜ばせる事を知った。
市の企画に「社会を明るくする運動」というのがあって、
絵を描いて入選した。
表彰式に父と行く。
普段無口で、会話の苦手な父が、
表彰式に行ってくれたのは
思いもよらない事だった。
父はとても喜んでくれていた。
今、思うと、
父に喜んでもらえた事が嬉しくて、
もっと喜んでもらいたい思ったのが、
アートに興味を持った理由に
なっているのかもしれないと思う。
その父は、私が19歳の時に、
胃がんを患って他界した。
病室で付き添っている時、
父の顔を見ていて泣いた。
思わず父の手に触れると、
寝ていたはずの父が、
「明美、泣かんでもいい。」といって、
手をぎゅっとして返した。
もう、随分昔のことなので、
ずっと、ずっと、忘れていたことなのに、
今回の企画をするにあたって、
なぜ私がアートに関心を持ったかを、
自分なりに振り返ってみたら、
私は、父への思いが、
心の深いところにあったんだと気がついた。
ただ、なんとなく好きで、
周りにアートする人がいることが、
アートへの関わりのきっかけになっていると
思いこんでいたのだけれど、
口下手で、感情の表現が出来ない無骨な父を
表彰式の場へ運んでくれた絵の力の凄さを
忘れていなかったのだと思う。
こうして振り返ってみると、
気持ちを込めるものには、
人の心を動かすことが出来る「力」があることを、
この時、父に教えてもらっていたことになる。
私は、
アーティスト達のように、
描いて感動を伝えることは出来ないが、
他の人々の為に、
何か出来ることはないかを思い描く。
それを伝えて行きたいと思っている。
New York Art Wave Project&デザART協賛企画
https://www.nyartwave.com/summer-exhibition-ny